③パワーと影響力(入門編)
若手社員が隣の部署の人へお願いを持っていっても聞く耳を持たなかったのに、上司経由で同じことを言ったらすんなり通った。
正しいことを言っているはずなのに、人が動いてくれない。
そんな経験をした人もいるのではないでしょうか。
今日紹介するのは「パワーと影響力」、人を動かす際に登場する概念です。
「パワーと影響力」とはそれぞれ以下を意味します。
パワー… 個人がそれぞれ持っている、人々に物事を実行させる「潜在的な能力」
影響力… 人々を実行に向け動かそうとする「プロセスや行動」
概念として少し分かりづらいかもしれないのでHUNTER HUNTERの念で説明すると、パワーが”練をまとった人”、影響力が”発”ですね。ドラゴンボールでいうとパワーが”界王拳10倍状態の悟空”、影響力が”かめはめ波”。ドラえもんでいうとパワーが”ジャイアン”、影響力が”暴力”かな。(違うか?)
・パワーの源を分類すると下記3つになります
① 公式の力… 組織での地位や役職による力(部長、等)
② 個人の力… 個人としての魅力が持たせる力(カリスマ性、能力等)
③ 関係性の力… 自分の人間関係による力(人脈等)
・影響力は以下6つに分類されます
① 返報性… 恩恵を受けたら、報いなければならないと感じること(例、お礼の気持ち)
② コミットメントと一貫性… 自分が宣言したことと一貫した行動をとろうとすること
③ 社会的証明… 他人の行動を指針とすること(例、行列店に並びたくなる気持ち)
④ 好意… 好意を持つ相手ほど賛同したくなること(例、仲良しのお願いは聞いてしまう)
⑤ 権威… 専門家に指示を仰ごうとすること(例、弁護士の指示)
⑥ 希少性… 手に入れにくいものほど求めたがること(例、限定品、本日限りのセール)
スラムダンクのインターハイ予選、湘北高校対陵南高校戦で、ピンチになる陵南チームが浮き足立つ雰囲気の中、仙道が「まだあわてるような時間じゃない」という発言をしたことにより、陵南チームは落ち着きを取り戻した、というエピソードは有名であるが(コミックス第19巻156ページより)
これはまさに仙道選手という超カリスマ的な力を持つパワーの持ち主であり(② 個人の力… 個人としての魅力が持たせる力(カリスマ性、能力))、彼の一言が大きな影響力となってチームを動かしたのである。(①返報性③社会的証明④好意⑤権威が混ざって発動したといえる)
会社生活でも単純に「Aは良い、Bはダメ」というはっきりしたものではなく、例えば「Aはコストの観点では良いが、品質の観点ではBが良い」というように人によって選択肢が分かれる場面が多く存在する。
「品質」を取るか、「コスト」を選ぶかについては判断が分かれる所であるが、判断基準は会社の方針であり、部署のKPI都合であったり、個人の価値観であったりする。
こういう時部署の立場や考えによって意見の対立が発生する時があり、その時のパワーと影響力の強い選択肢が結論になる。
「X常務のご意見はBだ。」「じゃあBにしましょう」というように、X常務の”公式の力”から発動する複合的な”影響力”にひれ伏すが如く、Bという選択肢に帰結してしまう訳ですね。
では、自分の意見が通らない場合、何を意識したらよいでしょう。
自分の持っている”パワー(① 公式の力② 個人の力③ 関係性の力)”はその瞬間は変えられないので、
人に動いてもらう為、どう”影響力”を与えていくか、がポイントになるわけです。
動いてもらう内容に応じて、「前に何かしてあげた同僚(返報性)に頼む」「元々同じ考え方を宣言していた人にお願いする(コミットメントと一貫性)」「実は持っている自分の知識を持って建設的に説明して同意を得る(権威)」等のやり方を意識すると良いですね。
最後に注意点です。
・パワーは、それが相手に伝わっていないとパワーとして機能しない、ということです。
→部長職であっても相手がそれを知らなければ、公式の力は働かないし、その道の達人であることが相手に知られていなければその影響力が伝わらない、という話ですね。
ドラゴンボールでは、スカウターによって相手の戦闘力(パワー)をダイレクトに測れるから、その点では便利ですね!
現実では普段から自分のパワーを正しく伝えるコミュニケーションに意識を向けるようにしましょうね。